川越市は12月1日で誕生100周年を迎えました。
さまざまな周年事業を進める中で、ことし5月に市民が参加して描いた大きな1枚の絵があるものに生まれ変わりました。

コロナ禍で行動が制限され、交流が減ってしまった市民やまちの活気を取り戻そうと、ことし5月、巨大アートの制作が行われました。準備されたのは縦3・5メートル横10メートルの大きな布。 市民が、手形で市の鳥=「雁」の翼を描き川越市出身の現代アーティスト松岡智子さんとともに一つのアート作品を作り上げます。

市の青年会議所などが企画したこの取り組みには500人以上が参加。
完成後、出演した番組内で松岡さんは、このアートに込めた思いについて話しました。

アート作品はその後川越市立美術館に展示されましたが、主催した市の青年会議所では松岡さんと市民で作り上げたこのアートをさらに活用できないかと考え新たなプロジェクトが始まりました。 それが、「雁の絵 着物プロジェクト」。
雁が描かれた布を日常的に着られる着物に作り替えようと動き始めました。

仕立てを担当するのはもちろん、川越市内の和裁職人です。

着物用の生地ではない布の仕立てには苦労もありました。
仕立てた着物から袖を付け替えたり使う箇所を変更したり、アートへの思いを聞きながら雁の顔の位置や色の使い方などを調整します。

相談しながら作るうちに、当初は既製品で考えていた帯も雁の絵から作ることになりました。
試着や修正を繰り返し、ついに完成した着物は100周年に先立ち10月に行われた市のアートイベントでお披露目されることに。
制作メンバーの対談のほか、コンセプトや関わった人の思いを伝えるための動画を流し、このプロジェクトへの思いを市民に伝えました。 100周年を迎えた川越で多くの世代が協力して完成させた雁の絵の着物。

松岡さんは、この体験をこれからのまちづくりにも生かしてほしいと今回のプロジェクトを振り返ります。

完成した着物は松岡さんが海外でのライブペインティングで着るなど、川越のまちのPRに活用され、きょうは100周年記念式典の会場で展示されたということです。

プロジェクトを主催した川越青年会議所によりますと今後は、希望があれば市民に貸し出すなど市の財産として活用していきたいとしています。

https://www.youtube.com/watch?v=zWFwyTPjOh0